DIARYダイアリー

2025年4月 ヒマラヤより

2025年4月28日

大学3年生の春。
大学の池で日向ぼっこをすると気持ちの良い時期。池の横にあるサブウェイのサンドイッチを頬張りながら、春の空を見上げていた。
------かもしれないが、私は今、ヒマラヤの青空の下山道を歩いている。

登れる時に思いっきり登りに行きたい。そう思い始めたのは、昨年の夏のことだ。2024年8月16日、ヒマラヤへ出発する5日前 、エベレスト街道のターメ村で氷河決壊による洪水が起きた。村のほとんどが、土砂に飲み込まれ流されてしまった。
洪水が起きてから10日後に私たちはターメ村を訪れた。木々の緑が美しい村は、色を失っていた。私たちがかつて、「ランドセルプロジェクト」で訪れた小学校も校舎の半分は消えていた。残っている教室の中は、流されてきた木や土砂により何もかもが無残な姿にになっていた。土砂が流れてきた川上には黒い雲が垂れこめ、まるで自然からの警告のように見えた。氷河湖の決壊リスクは以前から問題視されていたが、この夏を境に、より現実的に感じるようになった。「いつか起こる話」ではない。今この瞬間にも、私たちが巻き込まれるかもしれない。
温暖化の影響は、ヒマラヤの自然を通して、その速さを突きつけてくる。今回の洪水は小さな氷河湖によるものだった。では、世界最大級のひとつと言われるイムジャ湖が決壊したら、どれだけ多くの村が流されるのだろう。どれだけ多くのものを失うのだろう。想像することが辛い。私が見ているこの美しいヒマラヤは、いつ姿形を変えてもおかしくないのだ。何か起きた時に、もっとヒマラヤに行けばよかったなどと後悔はしたくない。かつてのターメ村の姿を思い浮かべながら「休学しよう」と決意した。

今回の目標はメラピーク。2度目の6000m峰。日本を出る前、ほとんどトレーニング出来なかったので、ゆっくりと順応しながら高度を上げている。
まずはターメ村に訪れ「ヒマラヤ洪水基金」で集まった寄付金とソーラーランタンをお渡ししてきた。春の暖かい太陽に照らされている、ターメ村の方たちも昨年と比べると笑顔が戻ってきたようだ。クムジュン村の学校に疎開していた子供たちも、時期に村に戻ってくるようだ。以前、ピークエイドがターメ村に建設したホールを学校としてオープンするそうだ。(洪水の被害を受けた場所から丘をあがったところなので被害はない)子供たちも戻ってくればより村が明るくなるだろう。

ターメ村を後にし、クムジュン、ポルチェ、ディンボチェ、ロブチェ、ベースキャンプと登ってきた。今回で5回目のエベレスト街道となるが、以前はかっこいいと眺めていた山々を今は登りたいという思いで見つめている。一体あそこからはどんな景色が見えるのだろうか。
とはいえ学生の時間は有限。思っているだけでは、あっという間に時が過ぎてしまう。私は目先のことに集中すると、後先のことを考えれなくなってしまう。計画的に進めなければ。ノートに、これから3年先の時間軸と登りたい山をつらつらと綴った。

まずは「2025 春 メラピーク」
そこにチェックをつけよう。
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アマダブラム峰

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ターメ村

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クムジュン村

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2024年8月洪水直後のターメ村